君だけに、そっとI love you.
何をしても華やかな感じがいつもしない私。
“かわいい”なんて言葉をかけてくれる人は今までいなかったから、本当のところそんなに素直に受け取ることが出来ない。
まるでコーヒーフィルターのような私。
たぶん、坂口くんのいった言葉は社交辞令的な一部。
私のお誕生日の時に坂口くんが言ってくれた“凄く可愛い”という言葉。
“凄く可愛い”と言われて、少しは嬉しかったけれど──。
きっと、無理をして口から出てきた言葉に違いない。
そういえばあの時、坂口くんのテンションが妙にやたらと高かったような気がした。
それに、今日も。
私は、無神経だ。
しらないうちに坂口くんに無理をさせていたことを──。
気の毒な坂口くん。
今度は何を言えば私が喜ぶだろうか……、と必死に頭の中で苦難しているはず。
気づけば映画館の中に二人だけ取り残された周翼と掬恵。
辺りはシーンと静まり返っている。