君だけに、そっとI love you.





「今日、つけてきてくれたんだ──。僕が作った髪飾り」







「うん」、と遠くを見るような目つきの掬恵が軽く頷く。






「吉井さんが着ている浴衣と良く似合ってる」






「ありがとう」






淡々としている掬恵。







周翼が恥ずかしそうにして笑う。







「今日の吉井さん、最高に可愛いすぎる──」






胸がドキンとして体が固まる掬恵。





──坂口くん、もういいよ無理をしないで……。







「………………。」







唇を軽く噛みしめて下を俯く掬恵。






──“可愛い”という言葉を聞く度に反応をして胸がギュッと締め付けられる。





息が苦しい。







「坂口くん、……もうそろそろ、映画館を出よう!」





そういって、先に立ち上がり映画館の出口を目指してすたすたと歩き始めたのは掬恵の方だった。







「あの……、吉井さん。ちょっ、ちょっと、待って!」






急いで周翼が後を追いかける。


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