君だけに、そっとI love you.
自宅まであと少しの距離で着くけれど──。
鼻緒が当たる部分がどうしても痛くて絆創膏を貼ろうとしている掬恵。
公園の灯りはついているが薄く暗く。
おまけに、……浴衣を着ているせいで足先まで指が届かず、上手く絆創膏を貼ることができない。
「ほら、かして──?」
周翼が手を差し出した。
掬恵がブランコに座ったまま「……貼ってくれるの?」と絆創膏を周翼に渡す。
周翼がブランコから立ち上がり掬恵の向かい側に移動をしてしゃがんで座る。
そして、周翼が右膝を立てた上に草履を脱がせた掬恵の左足をそっと乗せた。
赤く腫れている部分にそっと絆創膏を貼り終えると「歩けそう?」と周翼が聞いた。
「うん、もう、だいじょうぶ……」、掬恵の自信のない返事。
周翼が座ったままくるっと背中を向ける。
「ほらっ、おぶってあげる、……家までだけどね」
「えっ、……いいの!?」
草履を坂口くんに預けて、おんぶをしてもらう。
──坂口くんの背中を借りるの二回目。