君だけに、そっとI love you.
坂口くんの背中にぺたりと顔を引っ付けて、小さい頃を思い出した。
私がぐずった時は、こんな風にして良くお父さんがおんぶをしてくれた──。
懐かしいな……。
振動が心地よくて居眠りをし始める掬恵。
──坂口くん、いっぱい楽しかったけど、疲れたね……。
黙々と掬恵の家を目指して歩く周翼。
掬恵の家の灯りが見えてきた。
「吉井さん?もうすぐつくよ……」
返事がない掬恵。
「あれっ……?」
肩に乗っかっている掬恵の顔を見る周翼。
熟睡の掬恵。
子供のような寝顔。
「お父さん……」
消えそうな掬恵の寝言。
クスッと周翼が笑う。
──吉井さんのこんなところが、可愛くて、仕方がないんだよ……。
「僕は、吉井さんともう少しいたい──」
周翼がインターホンに指を伸ばす。