君だけに、そっとI love you.
悔しそうな表情を浮かべ、即座に体の向きを変え、ボールを追いかける西島先輩。
後半の試合の中盤でアクシデントが起こった。
相手が打ったシュートを両手で受け止め、点が入るのをギリギリで止めた私達の学校のエースのゴールキーパー。
暫くボールを抱えて顔を歪めながら地面にうずくまったまま動かない。
その様子を見ていておかしいと思った溝口先生が直ぐにゴールキーパーの元に駆け寄る。
ゴールキーパーは手首の強い痛みを訴え、溝口先生に支えられてベンチに戻っていく。
かわりのゴールキーパーを出来る人間はたった一人。
──坂口 周翼。
溝口先生が周翼の背中を叩く。
「残りの時間のゴールキーパーを、お前に頼んだ」
周翼が度付きのスポーツメガネをしっかりとつける。
絶対に負けたくない、絶対に負けられない!
周翼の瞳の奥の闘志の炎が熱く燃え始める。
「はい」とキーパーグローブを手にしっかりと付け、立ち上がりグランドに向かう周翼。
現在の得点、2対3。
強敵と呼ばれるだけの高い技術を持っている相手チーム。
1点リードをされたまま。
なんとか、もちこたえている状態。