君だけに、そっとI love you.
書き間違えた数字を人差し指でコキコキとこすってみる。
全然、消しゴムのようには綺麗に消えない。
数字の周りが黒く滲んで汚くなるだけだった。
そんな様子を周翼はじっと見ていた。
周翼は白い付箋を取り自分の使っている消しゴムに貼り付けて掬恵に渡した。
――【消しゴムどうぞ、使って。】
周翼がニカッと笑う。
掬恵は消しゴムに触れず、しばらくの間ずっと見つめている。
そして、掬恵は浅い溜め息をつき、白い付箋をゆっくりと剥がし、周翼から借りた消しゴムを待っていましたとばかりに使いはじめる。
消しカスに軽く息を吹き掛けて飛ばし、正しく数字を書き直すと、借りた消しゴムに付箋を貼って周翼に返した。
掬恵が消しゴムに貼った付箋の色はピンク色。
――【ありがとう。】
消しゴムを受け取った周翼は微笑みながらピンク色の付箋を剥がす。