君だけに、そっとI love you.
ノートの上に両手を置いて下を向いている掬恵。
正直、少しだけ消しゴムを借りようかどうしようか気持ちに迷いがあった。
──だけど、こんな時って、不思議と坂口くんの事が神様のように思えてきて。
それで、さりげない坂口くんの優しさに今までの事を自然と許してあげようという温かい気持ちになった。
もし、付箋が無かったら……、私達は今頃どうしていたんだろうかと思う。
真っ直ぐに黒板を見つめている周翼の横顔を見る掬恵。
もう、そろそろ普通に会話をしてもいいかなと思うけれど。
なんだか、やっぱり、もう少しだけ付箋を使ってみようと思った──。