願い屋


大切な人のそばにいること程嬉しいことなんてないって生きているときは思ったけど、今の私にとってはただの意地悪でしかない。

そんなことを考えていたら、
ガチャ。
部屋の扉が静かに開き彼がゆっくりと入ってきた。

彼は驚いたような顔をしている。
同時に涙を流しながら。

死んでから彼にあったのは今日が初めてだ。
きっと彼は私が死んでからずっと私のいる病室にいたのだろう。
うつろで今にも消えてしまいそうな目は彼の悲しみを物語っている。
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