俺たちの妹

俺の言葉を聞いて、少し戸惑いながらも、近くの椅子に腰掛けた桜ちゃん。



「あの…ほんとに私ここに居てもいいんですか?」

「うん、問題ないよ。
気にせずリラックスしてくれていいよ」

「………体調悪くないのに診察室に居るって、変な感じ」

苦笑する桜ちゃんは、診察が苦手な雰囲気を醸し出していた。


「もしかして、診察苦手?」

俺の言葉にビクっとなった。

「い、いや〜。苦手って言うか……
あまり行きたくない場所ですね」


「はは。そっか〜」

ビンゴな答えに思わず笑ってしまった。



「ど、どうして分かったんですか?」

「ん?長年の勘かな〜」

「え?勘ですか」

「そ、勘。って言うか雰囲気かな」

「雰囲気……」

「診察を拒否する雰囲気」

「お医者さんはみんな分かるんですか?」

「……どうだろ…あんまり考えたことなかったけど…
分かる人は他にもいるんじゃないかな?」

「でも、私が行く病院の先生はいつも容赦ないです……」

「ははっ。容赦ないんだ……
じゃぁ、今度俺の診察受けてみる?」

「え?………
それは……恥ずかしいです……」

「そりゃ、年頃の女の子だもんな……
気持ちは分かるよ」

「ほんとですか?……
私が行く病院の先生は恥ずかしい気持ち、汲み取ってくれないんです……」

< 387 / 702 >

この作品をシェア

pagetop