少しずつ、見えるミライ
ロマンチストな彼のことだから、無理矢理とか、おかしなシチュエーションとかは、絶対あり得ないだろう。

そういう意味では安心だし、なかなか本当の気持ちを言えずに待たせてしまった分、ここからは彼の好きにさせてあげたい。

急ぐことでもないし、とにかく甘え方が可愛いから、私的には、今のままでも結構満足だったりする。

しばらくは、子犬のままでいてくれそうだし、彼の好きなように甘えさせておこうと思う。



月曜日の夜、ダンススクールから戻った彼の顔は何だかキラキラしていて、嬉しいことがあったんだろうって、聞く前からバレバレの状態だった。

可愛いな。本当に子供みたい。

それにしても、そんなに良いこと、あったのかな.......



「ね、聞いて、聞いて。俺ね、何とかっていう新人ロックバンドのMVに、ピンで出ることになった。」

「え、一人?」

「そう。プロデューサーがイメージに合う奴、ずっと探してて、この前のレコード会社のイベントで踊ってる俺を見て、バッチリだと思ったんだって。」

「すご~い!! 良かったね。」

「うん。リリアさんみたいにダンスがメインのMVじゃないだろうし、若干、演技しなくちゃいけないっていうのが不安なんだけど、せっかく指名してもらったんだから、チャンスだと思って頑張ってみるね。」

「うん、頑張って。応援してるから。」

「ありがとう。」
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