少しずつ、見えるミライ
彼は満面の笑みで、私をギュッと抱きしめた。

夢に向かって、彼は着々と進んで行っている。

そう思うと、私も嬉しい。



もしかすると、成功すればするほど、その分、彼は遠くに行っちゃうのかもしれない。

でも、信じているから、もう怖がらない。

彼の夢が実現する瞬間を見たいから、そばにいて支えてあげたい。



「あ、でもね、申し訳ないんだけど、そのせいで、来週、バイト出られない日があるんだ。」

「いつ?」

「火曜日。午後から打ち合わせなんだって。」

「わかった。」

「大丈夫? 早く終わったら、遅れて行けるかもしれないけど。」

「何とかする。気にしなくていいから、頑張って。」

「うん、ありがとう。ちなみに、再来週も撮りで出られない日が出て来ると思うんだけど.....。」

「いいよ。再来週なら、まだシフトいじれるし。」

「ほんと?」

「そんなこと、いちいち気にしてたら、チャンスが逃げてっちゃうよ。朝陽君の夢は、私の夢でもあるんだから、心配しないで、頑張って来て。」

「ありがとう。そう言ってもらえると、嬉しい。」

「私にできることは何でもするよ。だから、朝陽君は夢に向かって、全力でぶつかって行って。」

「うん。未帆さんのためにも頑張るね。」
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