少しずつ、見えるミライ
彼は私にキスすると、ニッコリ微笑んだ。

彼が目指している夢は、私がずっと望んで来た「堅実な未来」とはかけ離れているのかもしれないけど、一つずつ積み上げて行くことで、確実に実現へと近付いている。

この優しい笑顔のためなら、私だって頑張れる。



約束されたものは何もない、不安定な夢だと馬鹿にする人もいるだろう。

恥ずかしながら、以前の私がそう。

そんなのハナから信用できないって、決めてかかっていた。



だけど、今は、彼を応援してあげたいって、心から思ってる。

それはきっと彼を愛してるから。

彼の職業とか、年齢とか、そういう条件を軽く乗り越えちゃうくらい、好きになってしまったから。

私の恋愛に対する偏った概念を変えてしまうほどの強い強い愛情を、彼が投げかけてくれたからだと思う。



彼と出会ってから、やさぐれ気味だった心が潤った気がする。

一緒にいる時はもちろん、そばにいない時間だって、彼の笑顔を思い浮かべるとホッコリする。



よく知らない相手と同居なんてあり得ないと思ったけど、今はもっともっと一緒にいたいと思ってる。

彼のいない生活なんて、考えられない状態になっている。

こんなに短い期間にそうなるなんて、自分で自分が信じられないくらいだ。
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