少しずつ、見えるミライ
そこから先は、無我夢中。

彼を感じることだけに、全神経を集中する。

息使いや体温、軽く漏れる声に、どんどん早くなって行く鼓動。

頭の中が真っ白になるほどの快感の中で、大好きな人のすべてを確かめる。



これ以上、心地良いことなんて、この世にないんじゃないかと思う。

こうしていると、身体だけじゃなく、気持ちも満たされるから。

深いところで愛されてるって感じて、安心するから。

本当に愛してる人とでなくちゃ、きっとこの感覚を分かち合うことはできないから。



だけど、今日の彼には、それだけじゃ物足りないのかもしれない。

普通に抱き合うだけでも十分伝わるはずなのに、こんなにも激しく求めて来るのには、きっと何らかの理由があるんだろう。



それはやっぱり、修ちゃんのことだよね。

彼は修ちゃんの奥さんだった頃の幸せな私を知っている。

単なる元カレなんかとは次元が違う存在だから、訪ねて来ただけでも不安になるのはよくわかる。



だから、今の私の本当の気持ちを感じ取ってほしい。

そんなつもりで抱かれていた。

何度も何度も名前を呼んで、「好き」って言って、自分からも求めて、恥ずかしいくらいに全部をさらけ出して.......



素直に彼を感じて、思ったままを見せた。

彼の心の奥まで、私の思いが届くといいなと思いながら。
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