少しずつ、見えるミライ
信じているのに、こんなに不安になるのは、どうしてなのかな。

出会った頃の彼女が、いつも幸せそうだったから?

二人の指に輝いていた指輪を忘れられないから?

彼女がこんなに長い間、離婚を引きずってしまうほど、あいつのことを深く愛していたから.......?



どれも変えられない過去で、真実だ。

いっそ知らないふりをしてしまいたいけど、この現実がなければ、俺は未帆と出会ってないし、そんな過去も含めて、今の彼女を誰より愛している。

だから、何があっても、あんな奴に負ける訳には行かない。



手段を選んでいる余裕はない。

みっともなかろうが、女々しかろうが、もう何だって構わない。

みんなに協力を仰いで、できる限りの手を尽くしておこう。

後悔したくないから。

知らない間に手遅れになることだけは、絶対に嫌だから.......




理恵ちゃんのおかげで、この日、あいつが訪ねて来たことは、何とか未帆にバレずに済んだ。

だけど、もし彼女があいつと対面していたらどんな反応を見せたのかなって想像したら、閉店するまでの間ずっと、勝手にどんどん暗い気分になって行った。



こんなにネガティブになるのは、『俺』史上、初かもしれない。

それくらい俺は、彼女に本気で惚れているんだと思う。

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