少しずつ、見えるミライ
あっ、そうだ!!

こうなったら、こいつを使うしかない。

ちょうどいいタイミングで味方についたし、かなり目ざとい奴だから、いろいろ役に立ちそうな気がする。



「ねぇ、でも、なんで朝陽君、元ダンナの顔なんて知ってんの?」

「話せば長くなるけど、知りあった時は、まだあいつの奥さんだったから。」

「えっ、マジ?」

「うん。今度、それはゆっくり話すから、理恵ちゃん、俺に協力してくんない?」

「協力? あ、もしかして、邪魔するとか?」

「いや、そうじゃなくて、俺がツアー行ってる間、未帆さんの動き、報告してよ。」

「あ、そうか。土日、いないんだよね?」

「うん。」

「わかった。応援する。」

「ありがとう。マジ、頼む。」



よし!! これで、この場にいなくても、あいつの動きがわかる。

念のため、沙苗さんにも頼んでおけば、何とか話の内容くらいは掴めるだろう。



もちろん、未帆のことは信じている。

元旦那なんだから、話があるって言われれば、食事くらいは出かけちゃうかもしれないけど、優しい彼女が、そんなに簡単に俺を捨てたりしないって。



あいつのせいであんなに臆病になってたのに、彼女は俺に心を開いてくれた。

俺の気持ちを受け入れて、愛して、今まで支えてくれた。



目の前から彼女がいなくなったら、俺はどうなっちゃうんだろう。

未帆がいなくなったら、俺は、今まで通りにいろんなことを頑張れる自信がない。
< 159 / 216 >

この作品をシェア

pagetop