少しずつ、見えるミライ
「本当にごめん。あれもこれも、全部、ダメだよね。不安にさせて、待たせて。本当に俺、最低だと思う。」

「.......。」

「二度とこんなことしない。約束する。」

「.......。」

「本当にごめん。」

「.......うん。」



強張ったままの私を、修ちゃんがきつく抱きしめる。

あんなに寂しくて不安でたまらなかったはずなのに、不思議と今の私には、そんな感情はない。

抱きしめられて感じるのは、怒りでも安心でもなく、ひたすら違和感。

修ちゃんに対してだけじゃなく、そんな自分にも戸惑いを覚える。



その理由なんてわからない。

わからないから、モヤモヤする。

そのモヤモヤを抱えたまま、一緒に暮らそうっていうんだから、二人の間にひずみが生じるのも当然だ。



ギクシャクした状態が続き、愛する人といるはずなのに、息苦しさを感じる毎日。

本当なら、これから子供を産んで、二人で育てて、いわゆる普通の幸せな家庭を築く予定だったのに。



優しくて、カッコ良くて、学歴も、職業も、すべて私の理想。

修ちゃんといれば、私の欲しかった堅実で安定した未来が、絶対に手に入ると思っていた。



こんな下らないことで、それを崩したくない。

そんな焦りも加わり、言いようのない違和感は、日に日に増して行くばかり。

終いには、修ちゃんと一緒にいることが、だんだんと息苦しく感じるようになって行った。
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