少しずつ、見えるミライ
それでも、朝陽を支えたい、そばにいたいと思う気持ちは揺らがない。

私はきっと、ある意味、朝陽のくれる絶対的な愛情の虜になっているのだろう。

どんなに修ちゃんが魅力的でも、彼を手放してまで再婚しようという気にはなれない。

だって、朝陽がどれだけ私を必要としているのか、普段の様子を見ているだけでも、痛いほどよくわかるから。



ダンサーとしての朝陽は、着々と成功への道を進み始めている。

リリアのツアーが終わった後も、年明けから始まるミュージカルへの出演が決まった。

イベント関係の仕事も細かく入るようになって来たし、キッズスクールの方も、リリアのツアーのバックに付いているということで、朝陽のレッスンを希望する生徒が激増した。

仕方がないので、コマ数を増やす運びとなった。



そして、ついに、きっぱり、うちのバイトを辞めることになった。

寂しいけど、今度こそ、それをお祝いしてあげなくちゃいけないと思う。



いつまでもバイトしなくちゃ暮らしていけないようでは、どうにもならない。

だから、彼のためにも、私のためにも、これは大切な決断。

店頭に立っている彼に気が付いて、握手だの写真だのっていう女の子がちらほら現れ始めていたから、丁度、そういう時機だったのかもしれないし。
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