少しずつ、見えるミライ
三人揃って、社員食堂で日替わりのA定食を頼み、テーブルを囲んだ。

私の正面には瀬戸君、で、隣に沙苗ちゃん。

この配置からして、沙苗ちゃんから漂う「彼を真っ向から質問攻めにしたいオーラ」を感じずにはいられない。



「ねぇ、ねぇ、未帆ちゃんとはどういう知り合いなの?」

「知り合いって言うか、本当に俺が勝手に憧れてただけなんですよ。」

「どこで会って?」

「大学時代からずっと続けてるダイニングバーのバイトがあるんですけど、そこで俺が未帆さんに水かけちゃったことがあって.....。」

「え?そうなの?」

「はい。その時はヤバいと思って、とにかく必死で謝りまくったんですけど、焦ってるのは俺だけで、未帆さん、全然怒ってなかったんです。今のは事故だから仕方ない、そんなに謝らないでって。」

「どういうこと?」

「俺、その日、初めてフロアに出されたんですけど、スッゲ~混んじゃって、いっぱいいっぱいだったんです。で、あちこちで呼ばれるから急いでて、水を多めに入れ過ぎたコップを持って、そのままフロアに出ちゃったら、酔っぱらったお客さんに後ろからぶつかられて、手に持ってたコップの水、未帆さんのスカートに引っかけちゃって.....。」
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