少しずつ、見えるミライ
「え、何? それでも未帆ちゃん、怒らなかったの?」
「はい。ぶつかられたの見ててくれたみたいで、お兄さんが悪いんじゃないからそんなに頭下げなくていいって、笑ってくれたんです。だから、あの時は本当に救われたし、なんて優しい人なんだろうって感動しちゃって。余裕があって、素敵な大人の女性だなって思って。」
「へぇ~、未帆ちゃん、偉いじゃん。」
「.....そう?」
彼の話を聞いていて、私の中にも少しずつ、その時の光景が蘇って来た。
ハッキリとは思い出せないけど、何となく憶えてるのは、大袈裟なくらい必死で謝る店員のお兄さん。
あの日は何かの記念日で、私はお気に入りのワンピースを着ていたのだけど、かけられたのはほんの少しで、ただの水だったし、何度も謝る健気さに心を打たれ、怒ろうとも思わなかったような気がする。
でも、突然のアクシデントに多少は戸惑っていたし、お兄さんはずっと頭を下げ続けてたから、顔はあんまり記憶にない。
顔は憶えてないけど、印象に残ってるのは、謝り続ける緩くパーマのかかったフワフワの茶髪。
柔らかそうな明るい色の髪が、何度も目の前で揺れている様子が浮かんで来て.......
「はい。ぶつかられたの見ててくれたみたいで、お兄さんが悪いんじゃないからそんなに頭下げなくていいって、笑ってくれたんです。だから、あの時は本当に救われたし、なんて優しい人なんだろうって感動しちゃって。余裕があって、素敵な大人の女性だなって思って。」
「へぇ~、未帆ちゃん、偉いじゃん。」
「.....そう?」
彼の話を聞いていて、私の中にも少しずつ、その時の光景が蘇って来た。
ハッキリとは思い出せないけど、何となく憶えてるのは、大袈裟なくらい必死で謝る店員のお兄さん。
あの日は何かの記念日で、私はお気に入りのワンピースを着ていたのだけど、かけられたのはほんの少しで、ただの水だったし、何度も謝る健気さに心を打たれ、怒ろうとも思わなかったような気がする。
でも、突然のアクシデントに多少は戸惑っていたし、お兄さんはずっと頭を下げ続けてたから、顔はあんまり記憶にない。
顔は憶えてないけど、印象に残ってるのは、謝り続ける緩くパーマのかかったフワフワの茶髪。
柔らかそうな明るい色の髪が、何度も目の前で揺れている様子が浮かんで来て.......