少しずつ、見えるミライ
「図々しいのはわかってます。もちろん、この事は誰にも言わないし、絶対、変な気、起こさないって約束します。だから.....ダメですか?」

「..........。」



急にそう言われても、驚きすぎて答えられないよ。

だって、こういうことが起こるのは、ドラマか映画の中だけだと思ってたもん。

なのに、それが今まさに目の前で、さっきまでテレビの中で踊っていた七つも年下の男の子によって、私を相手に実演されているなんて.......



今すぐ信じろって言う方が、無理だと思う!!



だけど、彼が中途半端な気持ちで言ってるんじゃないのはわかる。

私を見つめる瞳は、真剣そのものだから。



それに、息苦しくなるほどの沈黙が続く中、私は気付いてしまった。

自分が彼のキュートな笑顔だけじゃなく、独特の甘い雰囲気とともに繰り出される切なそうな表情にも弱いことを。

不安げに見つめられると、まったく動けなくなってしまうことを。



あぁ、ダメ。これ以上、耐えられない。

だから、もういい。

わかったよ。

そんな辛そうな顔で迫られたら、断れる訳ないじゃん.......



「わかった。じゃあ、いいよ。」

「マジですか?」

「うん.....。」

「やったぁ!!」
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