少しずつ、見えるミライ
だけど、仕事モードじゃない時の未帆さんは、もっと可愛い。

攻めれば攻めるほど困った顔をするから、ついついイジメたくなってしまう。



俺よりお姉さんのはずなのに、ちょっかいを出すと照れたり、戸惑ったりする様子はヤバいくらいに可愛くて、見ているだけでキュンキュンが止まらなくなる。

この人が好きだっていう気持ちが、じわ〜っと溢れて来て、何が何でも手に入れたくなる。



こんなに真剣に誰かを振り向かせたいと思ったのは初めてだ。

出会いが一目惚れだった上、その頃は自分の本当の気持ちにすら気付いていなかったから、素直になれた今、余計にそう思うのかもしれないけど。



彼女と出会った頃の俺は、今までの人生の中で、一番チャラチャラしていた。

何の目標もなく、親から与えられたぬくぬくした環境の中で何となく学生生活を送り、大してやる気もないのに、卒業して実家の旅館を継ぐ日を、ただ待っている状態だった。



そこへ最初に衝撃をくれたのは、事務所の社長である龍さんだ。

出会ったのは、大学のダンスサークルで意気投合した順也と組んで出場したダンスコンテスト。

年齢不詳の怪しいオヤジは、賞にかすりもしなかった俺らに、突然、声をかけて来た。

たった一言だけ、「お前ら、もっと本気出せばいいのに。」
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