少しずつ、見えるミライ
初対面の奴にいきなりそんなことを言われるのは心外だったし、本気でやってるつもりだったから腹が立った。

だから、なんでそう思ったのか聞こうと思ったら、そいつは名刺を差し出した。

そしてまた一言、「本気になりたかったら、連絡して来い。」



ふざけるな、意味わかんねぇよ。

カッコつけてんじゃねぇよ.......

最初はそう思った。



でも、名刺に記された会社の名前には聞き覚えがあった。

そこのボスが、どうしてわざわざ俺らなんかに声をかけて来たんだ?

悔しいけど、それだけは知りたくなった。

だから、後日、勇気を振り絞って、恐る恐る接触してみた。



で、ハメられた。

そこからはもう完全に、道楽オヤジのペースだ。



こいつは好きなことだけやって生きてるのに、すべてを上手く軌道に乗せている。

こんな奴が本当にいるんだと驚いたし、悔しいけど、ちょっとカッコいいなと思った。

でも、そう思っちゃった時点で俺の負け。

気付けば、龍さんの作り出す波に、俺は呑みこまれていた。



だけど、そばにいて、わかった。

この人はすべてを本気で楽しんでいる。

自分が本当に熱くなれるものを知ってるから、自然と周りに必要な人が集まって来る。

本気で遊んで、成功しているんだって。
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