少しずつ、見えるミライ
それを羨ましいとは思うけど、じゃあ、どうしたら龍さんみたいになれるんだ?

本当に熱くなれるものを見つければ、俺にもチャンスはあるのかな.......



それまでレールの敷かれたユルい人生を歩んで来ただけに、俺はだいぶ悩んだ。

で、結論、好きなものなんてダンス以外に思い浮かばない。

でも、好きだけでやって行けるほど甘い世界じゃないのはわかってる。

じゃあ、諦めるのか?

本当はやりたいのに、挑戦する前に逃げるのか?

それで後悔しないのか......?



龍さんは空いているスタジオを好きに使わせてくれたから、そんな風に煮詰まった時は、モヤモヤを発散するかのように、ガムシャラに踊った。

そうすると、決まって必ず楽しい気持ちになるし、気分がスッキリした。

時には、悩んでるのがバカバカしいような気にすらなった。



だから、次第に確信して行った。

やっぱり俺が好きなのはこれだ、進みたい道はここにあるんだって。

でも、そのせいで余計に悩んだ。

潔く決める勇気が出なくて、イラついた。



なのに、当時付き合っていた一つ年下の子供っぽい彼女は、相談相手になるどころか、自分勝手な我儘ばかり言って俺を疲れさせるし、さらには、今までサボっていたツケが回り、必修科目を落として進級が危うくなって来た。

そういう時って、不幸が続くものなんだろう。

その他にも些細な面倒が重なって、益々イラつき、俺はヤケになりかけていた。
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