むとうさん
結局一日仕事に集中することもできず、ルーティンをこなして退社する。

夕飯は何を食べていいかわからなくて、誰も誘えなくて、でも1人にはなりたくない。

同期にはこんな話できない。きっと私のことを心配して達也を貶してくれると思う。けどね、まだ諦められないような気持ちなの。いつかいつか、せめてもう一度会って別れをこの耳で確かめたい。

駅を出て、マンションに帰りたくなくて、反対方向に足を運んでいる。雨上がりのアスファルトは街灯できらきら光っていた。
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