むとうさん
土曜の午後16時。そわそわしながら待つ。メイク変じゃないかな?グロスを塗り直して達也の車を待つ。

白いSUVがきた。達也かと思ったら中からはおじさんが出てきて、人違い。

もう10分すぎている。
LINEをチェックした。

「ごめん!やっぱり無理だー>_< 今度埋め合わせするから本当ごめんね!」

家族と早めに祝うことになったんだろう。

今度って…ケーキには今度も何もない。またいつ会えるか分からないのに。

こんな直前になって無理だなんて。

何より奥さんと祝ってることを想像したら、私は…

私って何者でもない。誰でもいい、必要な人間じゃないような気がしてきた。

でもきっとこんなことがこの先いっぱいあるんだろう。

やっぱり、私じゃ無理だ。

一瞬むとうさんの言葉が頭をかすめる。
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