むとうさん
「そいで例えば私にとって、知人ぐらいの人と慶子の違いって信頼関係かなって思う。」

「信頼関係?」

「そう、信頼関係。」

萌は自信満々に唐揚げをモグつきながら言った。

「べつに頻繁に会ってわざわざ関係を繋げることに焦らなくていいし、お互い楽しくやってればそれがいいって思える感じかな?こいつなら大丈夫って。」

「そう思ってると長く続くね。」

「そうなんだよ。結局最初がどうであれ、途中で喧嘩しようが、その後長く続くほどお互い信頼してるかだよね。これって友達とかそういう範疇を超えて、人との繋がりだよね。」

そうか…人との繋がりか…私は萌と会えなくても、連絡をとってなくても、こうして時々会いたいと思うし、かといって適当ってわけじゃなくて、萌が困ったら第一に助けにいくだろう。そして、萌なら大丈夫だって信じられるのだろう。

「これからもずっとこんな風に会うのが続くといいね。」

「きっと続くよ。私達なら大丈夫。」

二人で少し照れ臭そうに笑いあった。
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