地味系男子の意外な素顔



「矢野、立てるか?」



痛みも治まったころ、木村くんにそう聞かれる。



「う、ん。ありがと……」



差し出されてる木村くんの手をとり立ち上がる。



「今日は家でゆっくりしてろ。送っていくから。」



「うん、本当ごめんね……」



木村くんにこんな迷惑をかけてしまうなんて自己嫌悪。


ごめんね、木村くんに迷惑かけっぱなしだよ。



「謝るなって。おまえは悪くねーじゃん。」



「……ありがと。」



優しい木村くん。



「……誰でもいいから相談しろよ。溜め込むのはおまえの悪い癖だ。」



あぁ、ばれてる。瞬時にそう思う。


私が過去のことで今でも辛い思いをしてること、


それを1人で溜め込んでること。



みっちゃんでさえまだ気づかれてないのに。



「ありがとう。でも大丈夫だから。」



大丈夫だから、気にしないで。


私の黒い過去にあなたを巻き込みたくないからーー


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