最も危険な  ルームシェア
この状況で俺が追い討ちをかけたら

彼女が困惑するのは目に見えていた。

だが俺としては話しかけるなら今しかない。

今後も彼女が単独で来社するとは限らない。

そう思いながらタイミングを計った。

「他に何かご不明な点はございますか?」

俺は彼女の声にハッとした。

「一つだけいいですか?」

「はい。」

彼女の真剣な眼差しに俺の胸はとろけそうだ。

気を取り直し意識して辛らつな口調を保つことにした。

「資材の期限が1ヶ月ちょっとしかないものがありました。」

「それは大変申し訳ございません。ご迷惑をおかけしてすみません。折り返し持参させていただきますので。」

「いや、今日でなくても大丈夫です。緊急の特殊なものだったし、数本だったからすぐに使い切りました。次の発注分から長めの期限であれば構いません。」

「承知しました。以後充分注意いたします。申し訳ございませんでした。」

と俺に頭を下げる彼女の前髪が乱れた。

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