最も危険な  ルームシェア
僕はこの間仁科から聞いた使用期限のクレームの件で資材室へ向かった。

ちょうどその頃

資材室ではラボの主任久保玲香が急ぎで発注した資材を

係りの樋口奈々がかき集めていた。

僕がドアから入ると玲香はその豊満なボディで僕に擦り寄ってきた。

「あら、ゆずるさん。」

僕を壁に追い詰め

僕の身体に今にもはち切れそうな白衣の胸を密着させて言った。

「たまにはラボへいらしてくれてもよろしいんじゃないかしら?」

「ラボに用はない。」

僕は静かに彼女を制した。

「相変わらず冷たいわね。そのクールなマスクの下には誰にも負けないほどの熱い想いがあることをあなたのフィアンセは知っているのかしら?」

「玲香、よさないか。」

僕は彼女の手首を握って身体を離した。

そこへ誰かが入ってきた。

長身のそのイケメンは白衣の前をはだけ

僕に軽蔑の眼差しを放った。

「あら、笹尾くん。」

彼は上司である玲香には一瞥もせず無視だ。

そしていきなり呼んだ。

「奈々。」

その低音が資材室に響いた。

「は、はい。」

奥から樋口奈々が小走りに戻ってきた。

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