最も危険な  ルームシェア
滝野さんは毎朝起床が遅くなった。

真司さんは相変わらず朝は声がかすれていた。

リビングで二人がコーヒーマグを持って雑談しているのを目にしながら

私はテレビで天気予報を見て出勤した。

「行ってらっしゃい。」

二人の声を背中に浴びた。

私は思った。

ルームシェアの居心地はメンバーに大いに左右されることを。

真司さんに求められながら

フィアンセがいる滝野さんを想い

兄にべったりなブラコンの妹友里さんの存在も気にしつつ

その三人の母親がどんな人なのかも知らず

今は複雑な心境だった。

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