最も危険な  ルームシェア
ふと鎌倉の北城家を懐かしく思った。

私は何も言わずに家を飛び出したきり連絡もせず

行く先々で子を増やしていることも知らずにいる

鬼のような母を哀れんだ。

たぶん誰かに探させているか

内密に捜査させているか

いずれにしても私に接触してこないのは不思議に思えた。

これは家出ではなく勘当か縁切りか

私にはどうでも良かった。

しばらく一人でいたかった。

二年分の家賃を前払いしてアパートを借りた。

家具どころかマグカップもまだなく

ガランとした部屋で思った。

いつか愛し合える人に出会って

その人の子供に恵まれて

幸せな家庭を築けたらと。

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