恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

大輔さんには、可愛がってもらってた。


良くも悪くも全て知られていて頭のあが

らない1人だ。


「待った?」


俺を見ようとしない彼女は、ビールを飲

もうと長い髪を耳にかけグラスに口をつ

ける。


彼女のやわらかい髪にもう一度触りたく

て髪に手を伸ばす。


「昼、お店で君の頭触った時に綺麗な髪

だなぁと思ってたんだ」


髪を1束つかみ毛先に触れた。

驚き、やっと俺を見た。

彼女の頬が赤く染まりなんだか俺の胸が

騒めく。


なに、俺も照れているのか?


そんなことに気づかず、彼女はしきりに

拓海のことを聞き出そうと一気に質問攻

めをしてくる。


「すみません。ちょっとこちらにも事情

がありまして……」

「事情ね〜⁈もしかしてだけど、その子

好きな奴がいるのかな⁈で、君は、そい

つの名前を知っている⁈」

表情が変わる。

ビンゴ‼︎

「正解です。友達、奈々って言うんです

けど、本当に天然でマイペースで、なん

て言うか恋愛には疎いんです。だから…」


君も充分に疎いと思うけどね。


髪を触っただけで、顔が強張るぐらいな

んだから今ここでキスしたらどうなるん

だ。


あぁ、俺はどうかしている。

なに考えてるんだか⁈


今は、彼女からの質問に答えてなんとか

合コンの話に持っていかないとな…


******************

7月7日


合コンの日

拓海には場の空気を悪くしないように奈

々とは初対面のふりをするようにと話し

たが作戦の1つだ。


まぁ、俺が拓海をいじって楽しみたいか

らっていうのもあるんだけどそれは内緒。

「お待たせしました」


いつも動じない拓海が彼女達がきた途端

に表情が変わった。


そう、早希と打ち合わせし浴衣を着る

この日にあわせた。


俺以外わからないだろうが、拓海が驚い

ている。


作戦成功。

順番に自己紹介を始めた後、突然拓海が

喋り出した。


おい…お前拓海だよな⁈


普段、女の前で無表情の拓海が笑顔を振

りまく。


沸き立つ女性陣たち。


なんで早希まで顔を赤くしているんだ。

俺の時と違いあり過ぎだろうが‼︎

なんだかおもしろくない。
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