恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

冷たく言い放ち席を立って会計を済ませ

ようとマスターに声をかけた。


「早希ちゃん、大丈夫⁇」

なにが……?


「涙が出てるよ」

知らずに流れていた涙。


昨日は出なかったのに今更流れるなんて

雅樹に再び会ったせいで感情がコントロ

ールできずにいる。


背後から抱きしめられる温もり。

「大輔さん、ごめん。今度払うから今す

ぐこいつ連れて行っていい⁈」


「あぁ、ちゃんと早希ちゃんと話して来

い」

返事を聞くなり、雅樹に連れ出され逃げ

ることを許さないと強く手を握られる。


「離して……」

「…………」

黙ったまま歩みを進める雅樹。


繋ぐ雅樹の手のひらで指先がもがいても

逃げようとする指を絡め取り離そうとし

ない雅樹。


何度も攻防を繰り返し、とうとう一軒の

平屋建ての家の前に立っていた。


鍵を開け、家の中へ入ってしまう。


「ねぇ、もう逃げないから離して……」

「……お湯沸かしてくる。コーヒーでい

いか⁈」


いつもの雅樹の顔から笑みが消え、表情

が強張っているような気がする。


頷く早希。


2人掛け用のソファに座り、コーヒーを

ドリップする雅樹をただ見つめていた。


昔ながらの木造住宅。


雅樹はここに1人で住んでいるの⁇

なぜ、ここに連れてきてくれたの⁇

わからないことだらけ…。


マグカップを差し出され、一口飲むと雅

樹は隣に座り、背を丸めたまま両手でマ

グカップを握りしめて言葉を探していた



「…………早希。昨日は…俺どうかして

たんだ。あんなふうに…早希に触れて…

ごめん」

キスしたことを謝っているの⁇


「……忘れたの⁈先に雅樹にキスしたの

は私なのよ」


「いや……違うんだ。そうじゃなくて早

希の気持ちに前から気づいてた。だから

…友達って言葉で距離を取ろうとしてた



「うそよ⁈」


「お前、すぐに顔に出るの知らないのか

?」


そうなの‼︎

初めて言われた。


きっと、雅樹だからだよ。


「お前と一緒にいると…自分を作らなく

ていいと言うか素の自分を出せた。お前

に会うと癒され、他の子といてもお前の

と比べてしまう」


ただ、話し続ける雅樹を見つめる早希。


「あの日、早希に触れてあのまま抱いて

しまいたかった。…でも、好きだと言わ

れて冷静になる自分かいたんだ。他の女

なら感情がなくてもあのまま抱いていた

と思う。俺なんかが、早希に触れていい

のかって思ったら謝っていたんだ」

なぜそう思うの⁈
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