恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

考えを巡らせていると喫煙所に入ってき

た拓海。


俺は、こんなに思い悩んでいるというの

になにかいいことでもあるのか、出社し

てからムカツクぐらい機嫌いい拓海。


「お前、なんかいいことでもあるの?」

動揺する拓海。


奈々ちゃん絡みか‼︎

クールなお前が1人の女に振り回されて

いるなんて、お前のファンが知ったらが

っかりするだろうな。


「そう言うお前こそ、…早希だっけ⁈そ

の子とどうなんだ?」


ゴホッ。

幸せボケのお前と違って今、その早希の

ことで悩んでいるて〜の。


こいつに相談するべきか?


その時、拓海のスマホが振動する。


画面を見て、俺を睨む。


「おい、飯島。今日飲みに行くぞ」


「えっ、俺、デートなんだけど。何か見

返りあるのか?」


早希に連絡をとり話がしたい。

お前と飲んでいる場合じゃないんだ。


「早希って子と奈々が今日飲みに行くら

しい。合流しないかって連絡きたんだが

、俺は、早々に奈々連れて帰るつもりだ

。そうすると酔っ払いのその子は1人き

りだな…」


「行く」

これは、チャンスだ。


拓海、お前は、俺の中の早希の存在に勘

づいてるのか⁈


俺を誘導するなんておもしろくないが、

早希を逃がさないために俺も合流する。


******************

平屋建ての家。


拓海たちと別れ早希の手を掴み、繋いだ

手から逃げようともがく指を何度も絡め

連れてきた。

俺を育ててくれた祖父母の家だ。

「……お湯沸かしてくる。コーヒーでい

いか⁈」

話をしようと思うが、何から話していい

のかわからずにいた。

コーヒーを持ってソファに座る奈々の横

に腰を下ろし、言葉を探した。


俺は早希の顔がちらつき、早希以外の女

に会うのが面倒になっていた。


そんな言い訳じみた話を目を見て黙った

まま聞いてくれる早希。


早希が涙を浮かべ俺の胸に顔を埋める。


早希が愛しくて頭を優しく撫でた。


「私……雅樹を好きでいてもいい⁈」


「……俺、好きだとか言う感情がわから

ない。でも、早希を大事に思うのは本当

なんだ。それでもいいのか?」


「うん。雅樹がいい…」


早希をぎゅっと抱きしめた。


俺の唯一の愛しい存在。

もう、お前以外いらない。
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