恋は盲目 Ⅱ 〜心を見せて〜

「早希の恥ずかしそうに潤んでる目って

そそるんだよ。俺だけに見せてよ。なぁ

…早希」


そして、キスを強要する。


触れるだけのキスから貪る唇が角度を変

え深く舌を入れてくると、舌を絡ませ息

つぎをすることを許さない唇。


人の気配がすれば、何もないかったよう

に涼しい顔をして歩き出す始末。


この仮面が崩れるのは、いつ⁇


灯の少ない道を通れば、数少ない灯の下

で耳朶を舐めまわし、何度も首筋にキス

を落としても唇に触れない雅樹。


意地悪な私の白王子は、絶対に…私がせ

がまないとキスをしてくれない。


ううん。そう仕向けているのだ…


絶対、雅樹の方が黒王子の名にふさわし

い。


雅樹とのキスに翻弄されて、やっと辿り

着いた私の部屋。


何度も抱かれ、雅樹の腕の中で眠りから

目覚めて幸せ。


だけど、私もっと欲張りになっちゃうよ。


不安にさせないって言ってたよね。


お願いだから、もう、他の誰も見ないで

私だけを見てほしい。


雅樹から香る甘い香りは誰の匂いなの⁈


あの時、誰と飲んでいたの⁈


真愛実さんは、雅樹のなに⁈


重ねた身体の数ほど好きになっていくの

に、虚しく感じてしまうのはなぜ⁇


どんなに熱烈なキスをされても、情熱的

に抱かれても不安な気持ちは消えていか

ないのはどうしてなのだろう⁈

ねぇ、答えを教えてよ。


眠る雅樹を見つめ、早希の心は乱れてい

た。


******************


休み明けに会う奈々は幸せそうに微笑ん

でいる。


あんなに、自分に自信が持てなくて消極

的だった奈々は、この短い間で強くなっ

たんだ。


その点、私はどんどん臆病になってる気

がする。


信じたいのに雅樹の背後に見える影に不

安を感じているのだから…


直接本人に聞けば解決するのに望まない

答えが出るくらいなら、今のままでいい


と思ってしまう。


「早希は、飯島さんとあの後どうなった

の⁇」


やっぱり気になるよね。


「たぶん、付き合ってる」

「えっ…たぶんってどういうこと⁇」

「たぶんはたぶんってこと‼︎」

「もう、私の時は文句言ってたのに、そ

れはなんなの⁈」

「いいの。ちゃんと好きって言ったし、

向こうも、大事にしたいって言ってくれ

たから…満足なの」


言ってることがめちゃくちゃだわ。


不安でたまらないのに口に出して自分に

言い聞かせてるなんて、恋に臆病だった

のは…私だったみたい。
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