近距離ロマンス



いちおうおしゃれをして、今は石田先輩のアパートの前。


インターホンを押そうと、人差し指をかまえたところである。




まだインターホンは押していないはずだが。



かってにドアが開き、パーン!と鳴ったのはクラッカー。




「咲良ちゃん、誕生日おめでとう」


と笑顔で出迎えてくれたのは石田先輩だ。




あたしは驚きのあまり目をパチクリと開いたまま動くことができなかった。


あたしのにぶい反射神経もぜんぜん反応してくれなかった。




「さ、咲良ちゃん?そんなびっくり…」


「は、はい。びっくり…」




ほんとう、びっくりだ。


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