【完】復讐の元姫



ガンッという鈍い音。



それを最後に、男が倒れて。



「汐乃」



怯えていた彼女に駆け寄ろうとした俺に。



「麗っ、怖かったよ」



奈々が抱きついてきた。



「離せ、奈々」



「やだっ、怖かった」



「………」




汐乃のところに、行きたいのに。



でも、奈々は離れない。



凌は未だに呆然としていて。



「汐乃」



「………」



俺と奈々を映す瞳は、うつろだった。



俺の方に寄って来る気配もない。



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