【完】復讐の元姫



「……うん」



「でも、昔からお母さんにもそこまで大事にしてもらえなかったから、お兄ちゃんがほんとに大事だったの……っ」



「……うん」



「それを取られて八つ当たりしただけ……っ。

ごめんなさ、いっ」



涙を流す奈々を、ギュッと抱きしめてあげる。



……ねえ、奈々。



あのね、私もその気持ちわかるんだよ。




「大丈夫だよ、奈々。

ハルトのこと、傷つけたりしないから」



誰かを想う気持ちは、みんな一緒だから。



「だから、代わりに」



そのとき、奈々にだけ。



「え……?

本気、で、言ってるの?」



「……うん。よろしくね、みんなのこと」



何よりも大切なことを。



最後に一言だけ、伝えた。



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