【完】復讐の元姫

:きっとこれが




カラカラと、小さく音を立てて扉が開く。



「失礼しまーす」



声を少しだけ潜めて、中に入れば。



「別に個室なんだから、そこまで静かにしなくてもいいだろ」



「だって」



「几帳面だな」



優しく笑って私を迎えてくれる、麗の姿。



街の中でも大きな総合病院の、一室。




あの日、本当に銃弾が掠っただけだったらしい麗は、手術して1週間だけ入院することになった。



明日が、退院の日。



「こっち来い、汐乃」



優しい声で呼ばれて、近づけば。



「ん、」



いきなり引き寄せられて、強引だけど優しく唇を重ねられる。



……もう。



「麗、」



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