花のような笑顔
駿のその言葉を聞いて、俺は最後の華の言葉を思い出していた。

優しい"笑顔"が好きだと、華はそう言った。
自分がいなくなれば俺から"それ"が無くなることを華は気づいていた。
だからこそあんな言葉を俺に残したのかも知れない。


狼『本当に、華にはかなわねぇーな。』


そんな言葉をこぼしながら俺の口元は自然と上がっていた。
そんな時、華の手がピクッと動く。
ハッとして華に声をかける。


狼『華?…華!』


華を見つめていると、ゆっくりとその瞼が開く。


華『貴方が笑ったような気がしたから。』


そう言って微笑んだ華の笑顔は、花のように美しかった。




fin
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