しろっぷ
 そう嘆きたくなるほど、二人の間には壁が出来たようになっていて、空気が重い。
 するとゆかりは、貴人の名前で買った『しろっぷ』の何かをバックから取り出した。
「た、た、貴人さん!」
「・・・何だ?」
「こ、こ、これ、よかったら引越しのお礼に」
「・・・ありがとう」
「いえ、とんでもないです」
「そう言えば、手伝いに行けなくても悪かったな。この仕事が終わらなくて・・・」
「い、いえ!?」
「まあありがたく受けと・・・なあ、なんか落ちてるぞ?」
「え?」
 地面を見てみるとそこには『しろっぷ』で最初に買った『安産祈願』と書かれたボロボロのお守りが。
 ゆかりはそれを慌てて拾った。
「ゆかり、そのお守りをどこで?」
「いや、あの、その・・・何て言うか、買っ・・・いえ、拾ったというか、預かったというか・・・」
「それ、見せてくれないか?」
「あ、いや、そのよう・・・」
「いいから頼む!!!」
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