しろっぷ
「さっきのアレ、完全に逃げてましたよね?」
 少し意地悪そうな顔をしながら、ゆかりは貴人に尋ねた。
「ち、違う。アレはゆかりの身を案じてだな」
「・・・もしかして貴人さんもマザコンだったりして」
「オレの母親はもう亡くなっているよ」
「す、すみません。そうとも知らず」
「・・・いやいいさ。あのお守りが返ってきたし」
「え?お守り?」
「いや何でもない。さっさと次行くぞ」
 すると車は再び再発進させたのであった。


 二人はその後、勢力的に次々と仕事をこなしていき、貴人が予定していた時間よりも早く片付いた。
 今はとあるお得意様が借りているビルから出て、そこから少し離れた駐車場まで歩いていた。
「ここも無事終了だな。後2・3件くらいか?」
「えっとですね、予定では次で最後です。『アラウンド・アフリー』前に連れて行ってもらったところですね」
「ああそこか。仲村さんにちょっと用がな」
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