しろっぷ
 新田の身体は冷たい飲み物がある冷蔵庫の方に。
「いえ、本当に大丈夫です」
「体調が優れないならおっしゃってくださいね」
「はい・・・ありがとうございます」
「それでこちらは近藤様と隣の奥様とのお住まいで?」
 新田は貴人の横にいるゆかりを見ながらそう聞いてきた。

 奥様!?
 わ、私はこんな自己チューおと・・・。

 けれども、ゆかりの顔は何処か嬉しそうで若干顔が緩んでいたことに気づいていない。
 また貴人も満更でもない様子で、優しい瞳になっていた。
「まだ妻ではないんだが・・・」
「そうでしたか。大変申し訳ございません」
「お気になさらずに。それよりゆかり、この物件のどこに不満があるんだ?」

 不満じゃなくって値段の方!!
 1億円もするところに住むとか、怖すぎて普通に無理!!

 そう大声で叫びたかったが、もちろんそのようなことなど出来ず、怒られた子どもみたいに俯いた。
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