記憶と。
僕達は外に出た。
そして各々が、病院を後にした。
僕はなんとなく、そこを離れる気になれなかった。
「ヒロ、今日はここにいてもしょうがねえよ。今日は帰ろう。」
後ろから健二が話しかけてきた。
「いや・・・ああ、うん」
「おばさんも言ってたじゃん。大丈夫だって。」
「いや、そうだけどさ。」
「つうかお前、あれから早かったな。それにこんな真冬にそんな格好でさ。」
「え?ああ、訳わかんなくてさ、そのまま出てきちゃったから。そういえば寒い。」
「お前、まだ高木のこと好きなのか?」
「いや・・・。」
僕は返事に困った。
僕は自分でもよくわからなかった。
綾子が倒れた。その言葉を聴いたとき、頭がめちゃくちゃになったのは確かだった。
そして嫌いになって別れたわけでもなかった。
別れて3年ちかくもたって、それでもずっと心の奥で好きだったのかもしれない。
でも僕は、なんとなくその事実を受け入れたくはなかった。
僕は家に帰って、自分のベットに横になった。
そして机の上に出ていた中学校のアルバムに気が付いた。
卒業して、一度もアルバムを開いたことが無かった。
それは自分では特に意味は無いものだと思っていた。
そして初めてアルバムを開いた。
そこには懐かしい顔がたくさん並んでいた。すでに忘れていた人間もいた。
クラス分けでの写真は、2ページしかなかった。
そして、綾子の前で目が止まった。
写真の中の綾子は、笑顔だった。
それは僕がいつも見ていた、大好きだった女の子のやさしい笑顔だった。
アルバムには、1,2,3年のさまざまな行事の写真も残っていた。
そこには、僕と綾子が校旗の下でグラウンドを見ている写真も入っていた。
僕はまさかそんな写真が取られていたのも知らず、苦笑いをした。
そして、当時の綾子を3年ぶりに見て、僕は少し泣きそうになっていた。
懐かしくてということじゃなくて、安心したからでもなくて、
僕は深い付き合いじゃない人間にさえ、本気で泣いてあげることが出来る綾子が、死を選んだことが、悲しかった。
そして各々が、病院を後にした。
僕はなんとなく、そこを離れる気になれなかった。
「ヒロ、今日はここにいてもしょうがねえよ。今日は帰ろう。」
後ろから健二が話しかけてきた。
「いや・・・ああ、うん」
「おばさんも言ってたじゃん。大丈夫だって。」
「いや、そうだけどさ。」
「つうかお前、あれから早かったな。それにこんな真冬にそんな格好でさ。」
「え?ああ、訳わかんなくてさ、そのまま出てきちゃったから。そういえば寒い。」
「お前、まだ高木のこと好きなのか?」
「いや・・・。」
僕は返事に困った。
僕は自分でもよくわからなかった。
綾子が倒れた。その言葉を聴いたとき、頭がめちゃくちゃになったのは確かだった。
そして嫌いになって別れたわけでもなかった。
別れて3年ちかくもたって、それでもずっと心の奥で好きだったのかもしれない。
でも僕は、なんとなくその事実を受け入れたくはなかった。
僕は家に帰って、自分のベットに横になった。
そして机の上に出ていた中学校のアルバムに気が付いた。
卒業して、一度もアルバムを開いたことが無かった。
それは自分では特に意味は無いものだと思っていた。
そして初めてアルバムを開いた。
そこには懐かしい顔がたくさん並んでいた。すでに忘れていた人間もいた。
クラス分けでの写真は、2ページしかなかった。
そして、綾子の前で目が止まった。
写真の中の綾子は、笑顔だった。
それは僕がいつも見ていた、大好きだった女の子のやさしい笑顔だった。
アルバムには、1,2,3年のさまざまな行事の写真も残っていた。
そこには、僕と綾子が校旗の下でグラウンドを見ている写真も入っていた。
僕はまさかそんな写真が取られていたのも知らず、苦笑いをした。
そして、当時の綾子を3年ぶりに見て、僕は少し泣きそうになっていた。
懐かしくてということじゃなくて、安心したからでもなくて、
僕は深い付き合いじゃない人間にさえ、本気で泣いてあげることが出来る綾子が、死を選んだことが、悲しかった。