青空の下に ~ 私たちの1ページ ~
「私たちが10才だった夏」
10才…?
「あ…」
俺は10才の頃の思い出が頭の中に出てきた。
「思い出した?愛莉のこと忘れないって言ってくれたよね…?ずっと愛莉、待ってたんだよ…?」
「ごめん…」
10才の夏だった。
友達と皆でプールに行った帰りに事故って、俺だけ入院した。
そんときに、愛莉に出会ったんだ。
あの頃は、愛莉はいつも笑わなくてなんか寂しげで。
俺は、一人で泣いていた女の子に話しかけた。
『どしたの?なんかあった?』
女の子は俯きながらいった。
『私ね、病気なの。手術しないとなおらないの。手術してもなおらないかもしれない…。それに…』
『それに…?』
『私の親ね、離婚しちゃって…お母さんと一緒に暮らしてるんだ。だから手術するためのお金がさ…お母さんは強がってお金は大丈夫って言うんだけどね』
俺は、黙って聞いていた。
『そんなんだったら、愛莉死んだほうがいいんじゃないかって。愛莉なんて…いなくても…』
『愛莉って言う名前なの?可愛いね。
愛莉のお母さん、愛莉に生きてほしいって思ってくれてると思うよ?』
『え…?』
『ここまで育ててくれたんだろ?愛莉のこと大好きじゃなきゃ無理だと思うよ?』
『だから、お母さんのこと信じてあげなよ』
俺も、お父さんはいないからお母さんの気持ちなら少しは分かってるつもりだ。