偽りの小悪魔ガール



放課後のこの時間、


職員会議で案の定保健室の先生もいなくて


静かな保健室にはグラウンドで


部活動をする生徒の声が遠くでちょっと聞こえている

それだけ。


あたしの心臓は珍しくドキドキしていた。



すると彼は冷凍庫から氷を取り出すと

あたしに渡してきた。

「えっ...?」

「腕、冷やせよ」


指を指され、腕を見るとそこには

さっき先輩につかまれていただろう跡が

紫色になりかけていた。



「あ...ありがとう」


彼は「うん」と優しく微笑むと


ベッドの近くのイスに腰掛けた。


....なんなの、この沈黙。


どっどうすればいいの...



男の人にだって動じない


いつものあたしは、今ここにいなくて


今までで一番ドキドキしてた。


彼の顔をふとみると、彼もあたしを見ていて

「ん?」と首を傾げてきたけど

「ううん...なんでも」と身を引いた。


...なによ、あたしじゃないみたい...こんなの。
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