たった一人の甘々王子さま
番外編 2


家族が増える日。
優樹side―――――




その日は突然やって来た。




目覚めた時、いつもより体は怠かった。
今日は金曜日。ここ何日かを振り返る。
部活の試合もあったし、忙しかったと言えばそうかも。


風邪気味だろうがなんだろうが、インフルエンザでもあるまいし、学校を休むわけにもいかない。
少し重い身体を起こして、隣に寝ている浩司を見る。


こっちに背を向けているけれど、上下する肩がまだ寝ているのを教えてくれる。
起こさないように静かにベッドを降りて洗面所へ向かう。


「今日を乗りきれば週末で休み。頑張れ、自分!」


顔を洗って鏡に写る自分の顔を見つめる。頬を両手で数回叩いて気合いをいれる。


「よし、今日も笑顔で!」


キッチンで朝食作りをしていると、なんだか気持ちが悪くなってきた。
今週は先生達との飲み会って.........水曜日だったよね?
二日酔いじゃ......ないか。今更だよね?
ん~、家で飲むわけでもないし、二日酔いになる原因は、ないよね?


「......気のせい、気のせい。さっさとお弁当作らなくちゃ遅れちゃう」


今日は簡単におにぎり弁当。
おかずは昨夜の残り、唐揚げがメイン。
卵焼きとウインナーをタッパーに詰めて、残りは浩司の朝御飯。
『次は、おにぎり作って......』
と、炊飯器の蓋を開けたとたん


「ヴッ、ヤバッ......」


炊きたての香りが顔を包むと吐き気がきた。その場にしゃがみこんで落ち着くのを待つ。
おかしい。絶対におかしい。
いつもは美味しそうな香りで大好きなのに.........。


.........昨日の晩御飯、食べ過ぎたかな?
あ。もしかして、生徒からもらったおやつ、食べ過ぎたのが原因?
確かに、食べ過ぎたよね。家庭科部のみんなの作品、美味しいんだもん。
プレーンもチョコもフルーツ入りも全て食べたよな.........小さかったから二個ずつ。


ハッ!カップケーキ以外にも食べたわ!
部活終わりに、生徒から差し入れてもらった〇〇堂のあずき最中......
あれ、大好きなのよ。『疲れた身体に糖分を』って食べました。それも三個。



はい、わかりました。
このムカつきは昨日の食べ過ぎによるもの。今日は控えよっと。
太って動きが鈍くなったら、体育教師なんか勤まらないもんね。


「おにぎり、おにぎり。今日の具材は、梅干しだ」


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