たった一人の甘々王子さま
映画も買い出しも全て済ませるために、規模の大きいショッピングモールへ移動した。
さすが休日。駐車場からして混雑している。なんとか空いているスペースを見つけ車を止める。
『止めた場所、忘れないようにしないと。』と、優樹が店内への入り口に表示されているアルファベットと数字を確認している。
先ずは、映画館。
選んだのはハリウッドのアクションもの。
主演の男優が優樹の憧れの人だった。
『彼の主演映画は素敵だよね。惚れ惚れする体幹、ギュッってしたいよね!』
と、パンフレットを見ながら興奮するので、浩司は複雑な心境。
二時間後、興奮冷めやらぬ優樹に疲れた浩司が館内から出てきた。
クールな男がヤキモチでも妬きすぎたのだろうか........
次に向かった先はスポーツ洋品店。
広い店内を見て、またテンションの上がる優樹。もう、子供だ。
先ずは、必要品を物色。
あれこれカゴに入れていく。
「あー、このシューズほしいなぁ~。 ん?此れも良いかも。わぁ、こっちも捨てがたい......」
独り言が増える優樹。
右手も左手も気に入ったシューズを持っている。
浩司は一歩後ろで微笑んでいる。
「俺には違いがわからないけど、プレゼントしようか?」
楽しそうに選んでいる優樹が可愛くて、浩司は1つ提案を投げ掛けた。
すると、
「ん?今は誕生日でもないから要らないよ。見てるだけだし。それに、浩司からのプレゼントはもう貰った。ほら、これとこれ。」
優樹は来ているジャケットとパンパスを指差す。
「それにさ、試合当日は今まで使っているヤツ使うもん。」
『要らない。』と、受け取らない優樹に驚く。
浩司の知る限り、女は『嬉しい。ありがとう。』と、断ることなく受け取る為、手を出してくる。
図々しく、ねだってくる女も居た。
「よし、堪能した。 次はあっちに行く。」
手にしていたシューズを棚に戻しながら、ウェアコーナーを指差す優樹。
と、その時二人の後ろから呼び止める声が聞こえた。
「あれ?優樹じゃん! お前も試合前の買い出しか?」
聞こえた声が男のものだと判った途端、浩司の眉間に皺が入る。
それについて、優樹は気づかない。