涙空*°。上
涙とたばこの味
―凜said―

ん...
ん?んん!?

背中に触れる柔らかな感触。
部屋に広がるのは、龍樹の香水の香り。

...今あたしが寝てるのは、間違いなく龍樹の部屋の龍樹のベットだ。

向こうの方でシャワーの音が聞こえてくるから、きっと龍樹はシャワーを浴びている。

あたしは、改めて部屋の中を見渡した。
微妙なスタンドライトの灯りだけで、あまり良く見えないけど...
おしゃれなソファーと机。
白黒でまとめられたシンプルな部屋。
いかにも、龍樹って感じ。

ってかこの家は、どこもかしこも綺麗にされてる上に、おしゃれだ。
...トイレもだ!!

外見だけじゃなくて、
こういう所にも女の人は惚れるのかな?

と、ドアが開く音がした。
どうやら龍樹がお風呂から出たみたい。
そのまま足音がこっちに向かってくる。

『りゅ...』
次の瞬間、あたしは硬直した。

そこには、首にタオルをかけた
上半身裸のイケメンがたっていたから。




『...露出魔!!』

『はぁ!?ここ俺んちなんだけど!?』
露出魔だ!あれはエロすぎる...

『...そうだけど!女の子がいること忘れないでよね!?』

『ぁ?んなもんどこにいんだよ。』

はぁぁあん!?
ぁあ、成程。あたしを女として認識していらっしゃらないんですね!!

『てか、何お前、処女』

ぶっ...
いきなりそれ言う!?
普通女の子に向かってそれ言う!?
あ、いや、女と認識されてなくても...
それ言わなくないですか!?

『図星か』
『うっさぃわ!!』

思いっきり龍樹に枕を投げつけてやった。

『お前ベッドでね...』
『布団派ですぅ!!』
これ以上お世話になるのも悪い。
流石に龍樹を床に寝かせて、
あたしがベッドで寝るのもどうかと思う。

『...はぁ。わーったよ。』
龍樹は呆れた声を出す。
ちょ...!?
あたしなりに気を使ったんですけど!?

まぁ...今回は龍樹に感謝だね。
助けてもらったし。
なんだかんだ、良くしてくれたし。

あたしは、
そんな淡い感謝の念を抱きながら
布団に体を沈めた。

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