涙空*°。上
約束
―凜said―

我武者羅に走って、着いたのは海岸。
月と星の光でキラキラ輝く海は、
すごく綺麗だった。


あたし...何やってるんだろ。
ちょっと夏樹のこと言われたくらいで。


忘れられたと思ってたんだけどな...。


ずっと、目を背けてた。


いつか夏樹は、あの笑顔で、
あたしの元に帰ってきてくれるって
期待してた自分がいた。


でも、季節は流れるばかりで。
夏樹は二度とあたしの元へは帰ってきてくれなかった。


認めたくなかった。
そんくらい、
あたしにとって夏樹は大事だった。


逃げられた....か。
胡桃の言う通りなのかもしれない。


考えただけで、自然と涙か溢れた。




なんか、龍樹にも悪いことしちゃった。
話聞いてたのかな....
わかんないけど、申し訳ない。




あの頃の夏樹と同じくらい、
今のあたしにとって龍樹はすごく大事な存在なのに。


龍樹....





『白玉、お汁粉なかったからミルクティー買ってきたぞ』


不意に聞こえた大好きな声に振り返ると、
ちょっと不機嫌な龍樹が
ミルクティーを持って立っていた。



『りゅ....うっき...』
龍樹の顔見た瞬間涙が止まらなくなった。


すると龍樹はあたしに近寄って、
苦しいくらいに抱きしめた。


『お前って本当馬鹿だな』
龍樹の香水の匂いが、
あたしの心を穏やかにしてくれる。


『俺がお前以外相手にすると思ってんのか?』
呆れたって感じの声を出した。



...だって!
『...前はして...たじゃんっ』
鼻声ながらに訴えた。


『もぅしねぇっつってんの』
龍樹はちょっとバツが悪そうに、
そう言った。



『龍樹...?』
『ん...?』

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